| 「ここに陳列さるる商品は、すべて百円玉一枚でお求めになれます。ぁ…いや ……、現代日本では消費税なるヤクザな税金があるゆえ、、百円玉の五パーセント、つまりは……、五円玉分の消費税がおまけで付いてきますよ!御縁がありますようにっ…てね!ねえ??さあさあ!!ドウドウ!!何でも百円、シャンプーリンスにグラサントランプ、オムツにスプーンやカリントウ、電池もありますゲームもあるよ、地図もチーズも何でもコイコイ!無いものと云われれば人情くらいなものですぜ、グヘヘ!………品質?そうこなくっちゃ、旦那!品質…、ひ…ひひ……ヒヒッ!品質だってキラリと輝く日本国百円硬貨の名のもとに、過不足なしに保証致します!誓いますとも!」
とまあ、都内の某百円均一ショップで偶然耳にした、店主の口上である。
続いて、彼は毛だらけの腕を大袈裟に振りまわして商品をいちいち指差しては「百円!」「百円!」と叫び散らしていた。時折その毛むくじゃらを振りまわしては勢い余り、商品のグラスをはじいて派手に割ってしまうこともあったが、「へへえ、勿論この不幸なグラスちゃんだって百円なんですぜ。こうして華々しく散っちまうのもイイじゃありませんか。へえ?百円均一ならではの価値観ですかい?またぁ。百円均一に哲学が売ってりゃあ、そんな学説ですかね、グヘエエッ、グへエエ」お気に入りの展開らしく、決まってそう云った。
「百円100円シャク円百円うるさいなあ。もうわかったよ。いまや百円均一なんて珍しくもなんともないんだよまったく。……しかしねえ、こうして百円の商品にぐるりを囲まれると何もかもが百円分の価値しかないように思えてきますよ。この下品に四方八方を照らす蛍光灯の灯り、とかね。これまた下品に垂れ流しのヒットチャート有線、全体何だいこの歌は。ラップだなんてよく云えたもんだよ、ただの駄洒落じゃないか。百円以下だあねこりゃあ。……あらら、酷いね。あの店員の笑顔、こんなところにまで百円均一を通すって方針かい?キミの笑顔もアナタの欠伸も百円均一、商品まさぐる手つきも百円、数えてレジ打つ指先百円、ガキが捏ねよう駄々も無い。ん?となると駄々ってヤツはなかなか高級なもののような気がしてくるね、ハハッ」
とこれは、同じ店内で偶然覗いた、あるお客の心中である。
店主の毛むくじゃらが六つ目のグラスを割ったところで、目的の品を買い店を出ると、都バスが排気ガスをヒトサマの顔に吹きかけバブオオーと去った。ムムム、百円玉絶対王政領では空気も百円、と考えればなかなか贅沢なものである。
|