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紅榴館コラムニスト

高萩裕司 : 第一回 即物的にギター、の巻

さて、何について書くことができるか。音、詩、セックス、光、声、ノスタルジア、煙、物語、翳、稲荷、ギター…。はて、思考と筆が、フワリと宙にのまれてしまったり、或いはビショビショに濡れてしまったり、陽光に溶け出してしまったり、煙にまかれてしまったり、己の影に隠れてしまったり、過去と結婚してしまったり、一対の狐に脅えたり、何だかんだでまとまらない。そういうことなので、今自分にとって一番即物的かつ語り易いギターについて書こうかしら。そう、即物的に、ギター。
現在居候中の部屋に鎮座するギター達は計四本。うち、一本がギブソン・メロコア・レスポールで、これはこの部屋の御主人様のモノ。もう一本のエレクトリック・不良・ギターが、フェンダー・チャー、いや、カート・ムスタングで、クリーム色のその愛らしい小柄なボディーを、デイウ゛・デイウ゛ィスよろしく胸の辺りにぶら下げれば、可愛らしいわカッコいいわで弾かずに抱き締めたくなるくらい。残りの二本はアコースティックギター、内訳、一本はヤマハFG。いわゆるフォークギターで、兄から譲り受けた時は、布袋寅泰「ギタリズム!!!」のステッカーがギュインと踊る、これまた弾くのを躊躇われる悲しき逸品だったものの、今ではそのプロパガンダもベリッと供養し、アコースティックギター用のピックアップはめ込み、特に必要もないのにガムテープで固定したところ、どことなくマーク・ボランの胡坐が見え隠れする、布袋・ボウイ・寅泰も天国でニンマリの品となった。さあ、さあ、最後の一本。彼女はギブソン・ダウ゛と云いまして、木肌色とさくらんぼ色の不調和もあどけなく、抱いてあげれば「ピィー!ピィー!」と喜びの鳴き声洩らす。この小鳩ちゃん、当年とって36歳、もう盛の過ぎたいい歳で、皺も目立てば分類の上では「熟女」の項に属するかもしれん。しかし何を隠そう彼女まだ処女!俺だってまだ手を出しちゃいない。即物的?とんだ転び方をしてしまった。紅色眼鏡の審美眼、によると、彼女はお美しい、とさ。

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